ジーン・シモンズ、「やりたいことのすべてができる」
今週末に開催される<LOUD PARK 2017>に、自らの新たなバンドを率いて出演するKISSのジーン・シモンズが、早くも日本上陸を果たしている。過去に何度も来日経験のある彼だが、ジーン・シモンズ・バンドという名義でこの国にやってきたのは当然ながら初のこと。10月11日の午前、BARKSの取材に応えてくれた彼は、このバンドでの活動動機について「KISSとしての動きがない時には、私は他の仕事を楽しみたい」と言い、次のように話を続けた。
「いざ始めてみたら楽しかったから続けている、というごくシンプルなことではあるんだ。私はあちこちで講演のようなことをしているが、そうした機会にはいつも“何曲か歌ってくれ”という話が出てくる。そこで、そのために新たなバンドを組んでやってみたら、とても楽しくてね。だからジーン・シモンズ・バンドとしての活動を継続させることにしたんだ」
そもそもは北米でのコミコン(コミック・コンベンション)出演の際に組まれたこのバンドだが、単発のライブでは終わらせたくなくなるほど、ジーン自身がそこに楽しみを見出したというわけだ。このバンドは3人のギタリストを擁しているが、そのうちフィリップ・ショーズとジェレミー・アスブロックは去る4月に行なわれたKAATOの来日公演にも同行していたナッシュビルを拠点とするミュージシャン。彼らをはじめ、ジーンの眼鏡にかなったプロフェッショナルたちが顔を揃えている。
「とにかくこのバンドでは話が早いんだ。リハーサルをすることもなければ、ロード・マネージャーやローディもいない。アンプも機材トラックもなく、すべてが現地調達だからね。そこにギターがあればそれでOKという感じで、まさに私自身がバンド活動を始めた頃のようなやり方をしている。つまりKISSとは違った種類の楽しみがあるのさ。そして今やそのバンドが、こうして南アメリカや日本、オーストラリアを回るようになっているんだ。面白いのは、私自身、バンドを組もうと計画して始めたわけではないということ。ただ単に、KISSクルーズで出会った奴らと一緒に楽しもうとしたまでのことで、ひとつの場に集まってプラグ・インして演奏してみたら素晴らしい結果になった。それだけのことなんだ。YouTubeとかをチェックしてもらえば、我々がこれまでどんなライブをやってきたかがわかってもらえるはずだ」
冒頭にも記した通り、ジーン・シモンズ・バンドは10月14日(土)、15日(日)の両日に、さいたまスーパーアリーナで開催される<LOUD PARK 2017>に出演する(彼らの出演日は15日)。そして10月17日(火)には、大阪・なんばHatchでの単独公演も予定されている。ジーンは「どのようなライブになるかは実に曖昧だ」と言いながら思わせぶりな笑みを浮かべ、次のように発言していた。
「これまでも2~3回の演奏の機会がある場合には、毎回違う内容のショーをやってきた。試しに合わせてみることもせず、いきなりビートルズの「You’re Going To Lose That Girl(恋のアドバイス)」をぶっつけ本番で演奏したこともある。それがまた、自分でも驚くほど素晴らしいものになってね。もちろんKISSの曲もやるし、そうでない曲もやる。KISSが滅多にやらない曲や、今後もやりそうにない曲というのもやる。このバンドではどんな曲でも演奏できるし、何ひとつ自分たちを縛るルールはないんだ。KISSではできないことも、ここでは可能だ。要するにKISSとこのバンドが両方存在することによって、私にはやりたいことのすべてができるというわけだ。とはいえ今回の場合、<LOUD PARK>では当然ながらよりヘヴィな曲、ビッグなリフの曲を中心にセレクトすることになるだろう。ただ、単独公演ではそれとは少し違ったものをやろうと思う。そうだな…THE YELLOW MONKEYの曲でもプレイしようか(笑)」
こちらから話を振ったわけでもないのにTHE YELLOW MONKEYの名前を出してきたジーンに、「では X JAPANの曲も是非」と言ってみたところ、彼は「速すぎて大変だから駄目だ」と言って大笑い。実際にそうした“日本のKISSチルドレン”の楽曲を披露することはまずないはずだが、きっとサプライズだらけの演奏内容になるに違いない。
そしてジーンはこうした会話の途中で真顔になり、「それはともかく、重要な話がある。『THE VAULT』の件だ」と言ってきた。『THE VAULT(ザ・ヴォールト)』とは、彼自身の音楽生活50周年を記念して10年がかりで企画・制作されてきたボックス・セットだ。全150曲という圧倒的収録曲数のみならず、仕様のすごさ、大きさ、重さ(なんと約19㎏!)、そして価格(なんと2,000ドル!)についてもまさに前代未聞のアイテムである。この、まさにジーン・シモンズならではの規格外ボックス・セットに関する彼とのやりとりについては、後日改めてお届けする予定だ。まずはその前に、<LOUD PARK 2017>と大阪でのライブ・パフォーマンスに注目したいところである。