By Lyndsey Parker / Yahoo Music

KISSにとって1989年はタフな過渡期であり, 当初のドラマーのピーター・クリスの後任としてやってきたエリック・カーに即した『The Elder』の発表を皮切りに, ハードロック界のタイタンズはオーケストラルなプログレッシブ・ロック・オペラをもってして破天荒な方向性へのシフトチェンジを決断した。このアルバムは元々ジーン・シモンズによってビバリーヒルズホテルのメモにささっと描かれた善と悪, 光と闇の対決を描いた童話をもとにしたリスキーなコンセプト・アルバムであった。— 宇宙の評議会により薔薇の勲章と呼ばれる自由を勝ち取るために立ち上がったヒーロー戦士団に雇われし, 成人を迎えた燦然と輝く瞳の主人公として知られる「ザ・ボーイ」, その後 賢く老いた守護神モーフィアスにより指導を受けるのであった。

ジー, 一体全体どうしたの?

まあ, 当時はぼちぼち上手くやっていたようだ。アルバム『The Elder』は KISS とスタジオ・アルバム『Destroyer』を手掛けたプロデューサーきってのレジェンド, ボブ・エズリン氏(ポップ/ディスコ調のKISSの前2作品『Dynasty』『Unmasked』に飽きていた昔ながらのファン達にとって目を見張るような進展であったようだ) の再会を促した。そして, 他ならぬルー・リード氏による「Mr. Blackwell」や「Dark light」「A World Without Heroes」の歌詞をフィーチャーしていた。シモンズによれば, 少年役として『Meatballs』や『My Bodyguard』等の出演した当時最も売れていた10代のスター俳優クリス・マスターピース, モーフィアス役としてパトリック・ステュワートを主力にファンタスティックな作品を意図していたという。しかし, KISSにとってこの9枚目のアルバムはファン達が求めていたものとは違っており, 1981年11月10日でのリリースにはすかっり失敗に終わってしまった。